(調査)
まず,贈与を受けた相続人から聴き取りを行う必要がありますが,正直に答えてくれないこともあります。そのような場合は,生前贈与を主張する方で資料を集めなければいけません。具体的には次のような方法があります。
1つ目は,贈与契約や贈与税の申告書が見つかればよいですが,そもそも作成されてないこともあります。
2つ目は,被相続人名義の預貯金の取引履歴を取り寄せる方法があります。入出金の内容を確認することで,多額の出金や振込から推測することができる場合があります。ただ,出金のみの記録では,他の相続人へ贈与されたかどうかは不明ですので,その後,他の相続人が自宅を新築したとか,結婚資金に充てたとか,債務を返済したとか,被相続人へ贈与がされたことを裏付ける事情も調査する必要があります。
3つ目は,不動産登記簿の名義を確認する方法があります。実際には取得費用や建築費用を負担していないにもかかわらず,相続人の名義がある場合には贈与があった可能性があります。
(生前贈与)
つぎに,生前贈与があった場合,遺産分割では持ち戻しをする必要があるかどうか,遺留分減殺請求では遺留分を算定する基礎財産に含めるかどうかの問題があります。
遺産分割では,すべての生前贈与が持ち戻しの対象となる訳ではなく,特別受益に該当するもので,持ち戻しの免除がされていないものが持ち戻しの対象となります。
特別受益にあたるかどうかは,婚姻・養子縁組のための贈与か,生計の資本としての贈与かで判断されます(民法903条)。贈与の目的や金額などによって判断されます。すべての生前贈与が特別受益にあたるわけではない点には注意が必要です。
また,持ち戻し免除の意思表示(相続の際に持ち戻しをしなくてもよいとの被相続人の意思)は,遺言書などで明示的にされている場合が該当します。ただ,明示的にされていなかった場合でも,黙示の意思表示が認められる場合には,持ち戻しが免除されることもあります。この場合は,他の相続人への生前贈与の有無や被相続人が生前贈与をした目的・理由,生前贈与を受けた相続人の状況などが考慮されることになります。
(遺留分減殺請求)
遺留分減殺請求では,相続開始前1年以内の贈与については減殺請求の対象となります。また,1年以上前の贈与であっても,遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には,減殺請求の対象となります。
(まとめ)
遺産分割などでは,相当以前(20年以上前)の生前贈与の有無が争われることもありますが,贈与を受けたとされる相続人からは争われることも多いので,必要な資料を集めることが重要になります。
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