相続が開始する前に,自宅を長男に残したり,家業を継ぐ者に株式を譲渡したりして,生前贈与が行われることがありますが,相続開始後にトラブルになることもありますので,注意が必要です。
(1) 税金関係
節税を目的に生前贈与が行われることがあります。しかし,現金を贈与をする場合には,形式的に相続人の名義の口座に入金するだけでは,税務署に贈与と認められず,相続財産として課税されることがあります。このようなことがないように,贈与した現金を管理する口座の通帳やキャッシュカードも渡しておく必要があります。その口座を相続人の支払などに使用している実績を残しておくとよいでしょう。また,あえて非課税額以上の贈与を行って申告を行い,納税をしておくという方法もあります。いずれにしても,せっかく生前贈与をしたのに,余計な税金がかかることのないように注意しましょう。
また,相続時精算課税制度を利用することもできます。贈与額が大きい場合や相続税がかからない場合などには,この制度を利用した方が負担が軽減されることがあります。
(2) 特別受益
相続人に生前贈与がされた場合,相続開始後に他の相続人から特別受益の主張がされることがあります。家業の承継等の目的などで生前贈与をしても,結局,その目的を達成することができないおそれもあります。そうならないために,特定の相続人だけに多額の生前贈与を行わず,相続分に応じた割合の金額を生前贈与するとか,持ち戻しの免除の意思を明確に残しておくなどの対策を取っておいた方がよいでしょう。
(3) 遺留分減殺請求
多額の生前贈与があったために他の相続人の遺留分を侵害するような場合には,相続開始後に遺留分減殺請求がされるリスクがあります。相続財産が自宅のみで他にめぼしい資産がないのに,自宅を長男に相続させたいということもありますが,遺留分減殺請求がされた場合の価額弁償をできるだけの資金は準備しておいた方がいいでしょう。そうしないと,最悪の場合には自宅を売却せざるを得ないこととなるおそれがあります。
(4) 相続人の立場から
他の相続人に相続開始後に生前贈与があったことを調べることは難しい場合もありますが,まずはいつ,どのような財産が生前贈与されたのかを確認する必要があります。手がかりをもとに,例えば被相続人の銀行口座の取引履歴を調査するなどして,生前贈与があったことが判明する場合があります。また,不動産を購入した際に,被相続人の持分が入っていたりすることもあります。日頃から,どのような財産があるのか,どこの銀行に口座があるのかなど気を付けておきましょう。
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