結論としては、
国債・投資信託受益権・株式などの有価証券は、相続開始と同時に法定相続分に応じて自動的に分割されるものではない。したがって、これらの遺産は、相続開始後も「準共有」の状態となり、共有物分割請求の対象になり得る。
被相続人Aが亡くなり、相続人4名(子)が法定相続分1/4ずつで相続することになった。遺産には国債、投資信託受益権、株式が含まれていた。
家庭裁判所の遺産分割審判では、これらを4分の1ずつ相続人が共有する内容で確定した。
その後、これらが共有のままでは単独で処分などできないため、相続人の一部(上告人)は、他の相続人(被上告人)に対し、
① 主位的に:国債・投信・株式の共有物分割請求
② 予備的に:各財産を4分の1ずつ取得できるよう手続の履行を請求
という訴えを提起した。
これに対し、原審(高裁)は、「これらの財産は相続開始と同時に自動的に相続分に応じて分割される」ため共有物分割請求をすることができないとして、訴えを却下した。
■ 最高裁の判断:有価証券は「当然分割されない」
しかし、最高裁は原審の判断を否定し、有価証券の性質ごとに次のように判断した。
■ 1. 株式は当然分割されない
株式には、配当請求権(自益権)、議決権(共益権)が含まれ、いずれも単純な可分債権ではない。よって、株式は相続開始と同時に法定相続分で分割されるものではない。
■ 2. 投資信託受益権も分割されない
投資信託受益権には、償還金や収益分配金の請求権、帳簿書類閲覧権など監督的権利など一部に不可分な権利が含まれているものの、委託者指図型投資信託だけでなく、外国投資信託の受益権については「当然分割されないと解する余地が十分にある」。
■ 3. 個人向け国債も当然分割されない
国債は「1万円単位」など法律で定められた単位があり、1単位未満で権利を行使できない。よって、自動的に1/4に分割されることはあり得ない。
■ 4. 結論:当然分割はされず、遺産分割によって帰属が決まる
上記の性質から、国債・投資信託受益権・株式は、相続開始と同時に自動分割されないとし、遺産分割審判により「持分1/4の準共有」とされたこれらの遺産について共有物分割請求をする余地があるとした。
■ この判例が示す実務上の重要ポイント
1. 有価証券は「自動的に分割されない」前提で扱うべき
銀行預金と異なり、株式・国債・投信は可分性が乏しい。
2. 遺産分割後に“準共有”が生じる可能性
持分割合による共有が成立し、共有物分割請求の余地がある。
3. 相続人の一部が勝手に換金等を行っていた場合の紛争に影響
共有関係が成立するため、勝手な換金や名義変更は問題となる。
4. 外国投信にも影響
「当然分割されない方向」で考えるべきとされた。
■ 弁護士からのコメント
この判例は、有価証券の相続実務において非常に重要です。特に次のような場合で役立ちます。例えば、相続人の一部が株式・投信を勝手に換金していたような場合、国債が分割できず遺産分割協議が進まないような場合、持分割合による共有状態をどのように解消するか問題となる場合、信託受益権の性質が問題となる場合である。
有価証券の分割を巡る争いは、法律構造が複雑で専門性が高い分野です。実務では、遺産分割・共有物分割の併用が必要になるケースもあります。相続財産に国債・株式・投資信託が含まれている場合は、早期に弁護士へ相談いただくことをお勧めします。
■ まとめ
国債・投資信託受益権・株式は可分性が乏しく、相続開始と同時に分割されない。そのため「準共有」が成立し、共有物分割請求の対象になり得る。
有価証券の相続は特殊性が高く、専門的な検討が必要である。
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